神道扶桑教 本部 / 宍野史生 のすべての投稿

新年おめでとうございます

聖上の御安寧と国家の泰平をお祈り申し上げます。そして皆様には輝ける一年でありますよう願っています。本年は初代管長宍野半さま御生誕百八十年さらに式年百四十年祭を迎へます。私たちの教派神道は明治時代に「信仰神道」として確立された民衆神道であります。明治帝の大教宣布の詔の大御心を仰ぎ惟神の大道を宣教すべく勅裁により立教を許された教団です。三条教則に則り教導いたしますが、とりわけその第二条に記される「天理人道を明らかにすべき事」は、天地造化の神理と人間の行うべき本道を昭明にする事です。「天理」を平かに申せば宇宙の万事万物は調和を持って存在し其れを自然と申します。ゆえに自然に争うのは無理だと言うことです。そして「人道」とは父母兄長に孝行を尽くし、子妻弟幼を愛育撫字し、朋友相互に信実を篤くする。すなわち「みんな仲良く」であります。宇宙の自然に抱かれた人間と、あらゆる生命体は寒暖晴雨の下、互いに思いやり、助け合うことです。
残念ながら、人類の歴史を紐解くに目立つものは、数々の戦争の歴史です。原因は人の飽くなき欲望であります。「富を独り占めしたい!」と言うことに尽きます。国土を、農作物を、エネルギー資源を「独り占め」にしたいのです。ここ百年の戦争は全てエネルギー資源の独り占めが発端であります。しかし、これからの百年はどうでしょうか?
私たちは今、再生可能エネルギーへの転換に向かっています。我が国日本は今、最先端の技術開発に邁進しています。たとえば太陽光発電用パネルは薄型化が2030年を目処に開発が進めららており、特にこの、ペロブスカイト太陽電池は原料から国産での供給が可能になります。また、藻類(そうるい)バイオマス燃料の開発も実証段階に進んでいます。藻類から原油を抽出するのです。
太陽や風や波や地熱、これらは地球上どこにでも存在します。これを独り占めは不可能です。であれば、戦争の一大原因は無くなると言うことでしょうか。
さらに、今まさに私たちの概念の変容が始まりつつ有ります。中央集権型であった富の概念は、ブロックチェーンの普及により近い将来、分散型に変化するでしょう。そう遠くない将来、これらが当たり前のインフラとして浸透した世界では透明で効率的、不正のない公平な社会が訪れると予言します。ただ参加者個々人がデータを分散保持させる仕組みであるため、個人の自立が求められる社会となるでしょう。そうしたときに個人が精神的に孤立しないためにも、信仰や文化や習俗や芸術での結び合いは必須となるでしょう。その時こそ、私たち信仰者は互いに垣根を下げ、人々が信仰文化を通し、安心して結び合える世界になるよう力を尽くさねばなりません。
私の信仰である神道扶桑教は、富士山を根本道場としています。富士山には登山道が五つあります。山梨県に北口吉田道、船津道、静岡県に東口須走道、富士宮村山道、御殿場道です。それぞれ自分たちの道が一番と誇りを持っていますが、その行き着く先は御頂上1箇所です。道は違えども目的はただ一つです。私たち信仰者も、それぞれの教えは違えども、この地球の生きとし生ける者の幸せを願い祈る事は同一です。
昭和15年に国民歌謡で放送された「隣組」という歌があります。作詞は芸術家岡本太郎さんのお父様の岡本一平さんです。「トン、トン、トンカラリンと隣組。格子を開ければ顔なじみ… 」と始まる歌は、皆様よくご存知でしょう。その四番に「何件あっても一世帯、心は一つの屋根の月、纏められたり纏めたり」とあります。私はこの歌が大好きです。
皆さまと「心は一つ、皆んな仲良し」を合言葉に歩んでまいりたいと願っています。 

令和六年元日 冨士道第十二世神道扶桑教第六世管長 宍野史生

生沼邦彦神事監の告別祭を斎行しました

去る6月23日に都天還原(逝去)された 神事監 不二道熊野教会長 萬福講社長 中教正 生沼邦彦先生の告別祭が管長台下御斎主の許、本教役員はじめ富士講先達の奉仕により斎行いたしました。
生沼先生には管長台下より高知富士道萬福邦浄大我命(たかしるふじのみちよろずとみくにきよしうしみこと)と諡(おくりな)が贈られました。
今は都天にて御側使えの命さまとなられて藤原角行さまや食行さま、そして先達方と大神さまに奉仕されています。生沼先生の永年にわたる御教導に感謝しています。御安福をお祈りいたします。

ありし日の生沼先生
斎場となる太祠本殿

秋季報元大祭が斎行されました

9月23日 太祠本殿にて秋季報元大祭が厳粛に斎行されました。大祭に先立ち参拝者には一人一人の頭上に御神實を戴く天拝式が管長台下により授けられました。その後、富士山八合目天拝宮で御山神事を修め御下山された御神實は無事に太祠内陣に還幸奉安されました。先蹤にならい勅任官衣の黒袍を著された管長台下は内陣に伺候、大神さまに今年の富士山開山期間が事故なく無事に納まったことを感謝し、合わせて国家安泰 玉体の御安寧、さらには富士吉田の元祠本殿修復事業の安全、また全国教会 神事所 教師 教信徒の日々の平安と世界の平和の願いを祝詞に込め御声晴れやかに祈られました。

管長台下より天拝神事が授けられました
奉仕する祭員

管長台下の教話

国際平和デーに平和を祈る鐘打式が開催

9月21日の国連国際平和デーに平和を祈る鐘打式がカトリック麹町イグナチオ教会で開催されました。
千玄室日本国連教会会長、長谷川祐弘実行委員長はじめ、東久邇吉子さま、小池百合子東京都知事らが参列し12時の鐘に合わせて平和を祈りました。ニューヨーク国連本部ではグデーレス事務総長が日本から寄贈された「世界絶対平和万歳」と鋳込まれた梵鐘を打ちます。
鐘打式のあと、上智大学においてシンポジウムを開催し管長台下は基調講演をされました。

〇こちらから→鐘打式の動画がご覧になれます ※音量にご注意ください

〇こちらから→管長台下の基調講演の内容がご覧になれます

御神實が御下山されました

8月26日 八合目天拝宮に遷御申し上げておりました御神實はご下山され北口本宮浅間神社を立ち寄り元祠に還御されました。元祠仮本殿で還幸祭を斎行、7月16日から勤修された御山神事が無事修納できたこと、また大勢の登山者が恙無く富士山登山が叶ったことを大神様に感謝申し上げました。

本年は食行身禄さま八合目烏帽子岩でご入定290年にあたります。地元の「かのえさるの会」と教育委員会の主催で、式年二百九十年祭が斎行されました。元祠に奉安の身禄像は中宿の身禄堂に神輿で渡御され「富士講おがみ」を上げ追善申し上げました。

また夕刻には元祠前に建てられた大松明に管長台下が点火し、全員で富士講の「おがみ」があげられました。吉田の火祭りの当日をもって富士山北口はお山納めとなりました。

下山の御礼参拝で北口本宮に入る神輿
身禄堂で式年二百九十年祭を斎行しました

元祠前に建てられた本教の大松明を点火。「おがみ」を上げ無事下山の感謝を申し上げました。
金鳥居通りには110本の大松明が奉納されました